ちょっとした休憩タイムをどうぞ。。
「ハロウィン仮装パーティ」
10月31日。今日はハロウィンの日。この日は死んだ霊が家族に会いに来たり、精霊や魔女がやってくる日だと信じられていた。しかし最近では、そんなお化けたちもすっかり愛らしい姿になり、各地でお祭り的に盛り上がる日となっていた。
今日、加藤家でも友人を招いてハロウィン仮装パーティを開く予定になっていた。たまたま休日なのもあり、開始時間は午後の一時からとなっていたが、まだ30十分前にも関わらず、すでに人が集まりだしていた。参加者の入場資格は、みんな仮装をしてくること。来る人来る人、全員が何かしらの仮装をしている。ぱっと見ただけでは誰が誰だかわからない。しかし、来場者はあえて名前を名乗ったりはしなかった。それぞれのキャラを楽しんでいた。
招待した加藤家の人たちは、前日から会場作りに精をだしていた。庭先にはたくさんのお化けやかぼちゃなどを飾りつけ、こどもたちが来ることもあってカタカナで「ハロウィン仮装パーティ」と書いた看板を掲げたりした。文字の周りにも、文字を埋め尽くすように、たくさんのお化けが描かれていた。今日のパーティに参加する人数は18人。次々と人は集まり、パーティがはじまった。まず、吸血鬼に扮した加藤家のお父さんが開会のあいさつをした。
「今日は我が家のハロウィンパーティにお集まりいただき、まことにありがとうございます。皆さま、素敵なお召し物でお越しくださって本当にすばらしいです。せっかくですから、今日は普段の名前は捨て去って、この最高のパーティを楽しみましょう」
会場から拍手が沸き起こり、そのまま乾杯が行われた。
パーティは大盛り上がりで進行していった。みんなそれぞれに好きな飲み物を飲み、次々と手作り料理も出されていった。そんななか、魔女に扮している加藤家の長女が異変に気付いた。
「あら、また足りないわ。今度はケーキが一つ足りてない。さっきは人数分に切ったパイも足りなかったし。おかしいわね」
長女のぼやきをとなりで聞いていたお父さんが、会場の人数を数えだした。
「あれ、おかしい。今日は全部で18人のはずなのに、19人いる。もう一度数えてみよう」
お父さんと長女はまた人数を数えなおしたが、やはり19人いる。会場内にいるお客たちも、二人の様子に気付きだした。どうやら人数が一人多いことがみんなに伝わりだした。しかし、相変わらず全員が仮装をしているので、誰が誰だかわからない。妙な不安感が一気に会場に広まった。それを察したお父さんは、大きな声で会場に呼び掛けた。
「みなさん、楽しいパーティの途中に失礼いたします。本日お越しくださったお客様に、私が把握していない方がいらっしゃるようだ。ぜひお顔を拝見したいので、皆様、一度全員で仮装を脱いでみましょう」
参加者は次々と頭にかぶっていたものを脱ぎだした。お父さんはその一人一人の顔を見ていき、家族が招待した人だと確認していった。しかし、最後に狼男のかぶり物を脱いだ人物に、驚きの声をあげた。
「おや、あなたは・・・」
その中年男性は、近所に住んでいる人だった。しかし特に親しく付き合っているわけでもなく、今日のパーティにも呼んだ覚えはない。妻に確認の意味を込めて顔を向けてみたが、妻も首を横にふっている。その中年男性は、会場のみんなに見つめられながら、小さく話し出した。
「すみません、わたくし近所に住む八口ともうしますが、昨日、外の看板を拝見しましてハロウィン仮装パーティを八口家イン仮装パーティと読んでしまいまして・・・。文字の周りにお化けがうじゃうじゃいたものですから読み間違えちゃいまして・・・」
おわり
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今日は、なっちん邸でハロウィン・パーティーが開催されています。
そこから着想を得てこのショートショート(オチのあるごく短い小説)を書いたそうです。
今日のパーティーは、みんな仮装したりオレンジの何かを身につけてワイワイするんだそう。
なっちんから、ジャック・オー・ランタンの顔をミカンに描いてる写真が届きました。なんだか和製でほのぼのしております。